完全に自律型検査と生産を実現する モバイル構成部品

航空宇宙産業では、より効率的で安定した生産方式を確立することが急務となっています。UniFix研究プロジェクトは、航空宇宙産業の産業界と研究機関の革新的なパートナーを結集し、独創的なフローライン検査・生産設備でより高い基準を設定することに成功しました。このプロジェクトは、Hexagonと、Staubli WFT、FFTプロダクション・システムおよびフラウンホーファーIFAM研究所との共同作業によるものです。

UniFixコンセプトは、複数の処理ステーションを通って独立したさまざまな大型構成部品を循環させる柔軟な構成部品キャリアーです。このプロセスでは、すべての関連する構成部品およびプロセス・データの電子フローが作成されるため、よりよい欠陥トラッキングと以降全てのステーションでの測定データの再使用が可能になっています。時間がかかる測定過程は、生産ステーションの外部で行われ、ステーション内では、迅速な参照タスクのみを行ないます。このようなシステムでは、ステーション間の移動で構成部品セットアップと組み立ての必要がなくなり、プロセスの効率を著しく向上させることができます。

UniFixシステムは複数の無人搬送車（AGV）を仮想的に連結し、1台の車両として移動させるキャリアを構成することから始まります。全方向性の駆動方式により、連結された車両は、非常に制限のあるスペースであっても機敏に作動します。

この車両は、カスタマイズ可能な保持固定具にマウントされ、複数のタイプの大きな構成部品に対応できます。特殊設計により、モバイル保持固定具を変形することなく輸送が可能にな っています。

生産ライン中の各目標プロセスの選択および定義は、カスタム・タブレット・インターフェースを通じて直観的に行なわれます。これは中央のプロセスデータ管理システムに接続され、命令を生成し、定義された重要業績評価指標を監視することでフローライン全体を管理します。

生産現場のQRテープに誘導され、様々な生産工程に正確に位置することができます。これはメディアサプライの自動接続から始まり、自動的に調整された固定具調節データを供給します。位置決め後は、精密にレベリングされたサポートにより、形状保持が保証されます。

その後、各金型の実際の位置は、大型冶具のあらゆる部分を同時に記録できるHexagonの3DArena動的マルチカメラ写真測量システムで確認されます。CAD図面との比較により、フィクスチャーエレメントを正確に位置決めするためのリアルタイムな調整データを提供し、調整パラメータはソフトウェア上でライブ表示され、CADモデルに重ねて表示されます。3D Arenaシステムの動的参照キャパシティにより、この微調整が行われる間、固定具の位置は、調整プロセス全体を通じ簡単に追跡できます。 

その後に、作業構成部品は保持固定具にマウントされます。 搭載された部品は、搬送前に固定され、自動搬送車が次の生産工程である形状参照・検査工程に移動します。

システムが検査と参照ステーションに到達すると、Hexagonの最も重要なレーザートラッカー・システム、Leica Absolute Tracker AT960の1つによってモバイル保持固定具の最初の参照が行われます。これは、フィクスチャーに取り付けられたレトロリフレクターまで測定できるため、検査ステーション内で高精度の参照が可能になります。

最初の参照後、測定プロセスがスタートします。構成部品に再びAT960レーザートラッカーを使用して、すべての測定分野にわたる3D点群データが捕らえられます。プロセスのこの段階では、レーザートラッカーは、独自の個別のAGVプラットフォーム上の部品を動き回るロボットアームにマウントされたLeica T-Scan 5 3Dレーザー・スキャナと組み合わせます。

この検査データに基づき、生産工程では、重要な特徴を識別し、航空宇宙水平尾翼または外端のトリムの軌道位置や、風力タービンブレードのドリルの機械加工位置などを定義することができます。

検査に続いて、モバイル保持固定具は機械加工ステーションに移動します。これは、UniFixフローの終了をマークし、使用後のAGVは機械加工プロセスの次の輸送オーダーを実行します。

UniFixアプローチにより機械加工システムを参照することで測定ポイント数を減らすことができるため、機械加工プロセス内で極めて大きな効率を提示します。このように、UniFixフローには、必要とされる完全な多段式の測定コンセプトがあります。

「AGVを保持固定具を輸送するために利用することで、ハンドリング・オペレーションの数を徹底的に減らすことが可能」とシ ュターデのUniFixプロジェクト・リーダー、フラウンホーファーIFAMのクリストフ・ブリンガー氏は説明します。UniFix概念により、機械加工システムは、その本来の目的(すなわち高品質の機械加工作業)に注目できます。


「プロセスを柔軟にし、サイクルタイムを調和させ準備期間を短縮することができます。集中処理データ管理システムのデータ収集キャパシティは、一貫性があり、かつ手順が簡素化されているため、早い時点で製造欠陥を識別でき、廃棄部品の縮小に結びつきます」とクリストフ・ブリンガー氏は付け加えます。

この革新的な開発計画により、機械加工システムの効率に、新しい基準を打ち立てました。 


UniFixプロジェクトは、研究開発と製造分野の主要組織グループ間の共同作業です。Staubliはグローバルなメカトロニクス・ソリューションプロバイダーで、そのStaubli WFTアームは、操作性を損なわず、最も重い荷物に対応する無人搬送車(AGV)を作成できます。FFTプロダクション・システムは、自動車、航空宇宙およびその他セクター中の顧客と世界中のプロジェクトの開発、設計と実装、執行を専門とする革新的な製造システム、柔軟で高度に複雑なシステムの主要なグローバルなサプライヤーです。フラウンホーファーIFAMは、「接着技術および表面」および「成形および機能性材料」分野のヨーロッパで最も重要な独立研究所のうちの1つです。この研究所では、自動化、デジタル化、生産技術に重点を置いた研究開発を行 っており、お客様に信頼性の高い、用途に応じたソリューションを提供することを目的としています。Hexagonは、高度なディテールの取得、処理、分析に理想的な先進の測定ハードウェアとソフトウェアを提供します。