古くなった、冷却器マスコットに新しい生命を

高速プロトタイピング

自動車産業の勃興初期の輝かしいメーカー名を少しだけ挙げてみると、フォード、ロールスロイス、ダイムラーベンツ-があります。今日、世界中の車の愛好者達は、わずかに残っているクラシックカー(その中には、100年を超えるものもあります)の維持と復元を楽しみにしています。 しかしながら、そうした貴重なアンティークカーの道路走行性の維持には、困難があります。元のスペアパーツの機能の完全復元への要求を満足することが、時の経過とともに、ますます、困難になってきています。

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目的および測定対象物

20世紀前半に製造された、パッカード・モーターカー・カンパニーのアメリカ製高級車にも、まさしくこの問題が、当てはまります。エンジンコンポーネントのスペアパーツは別にして、特に、さまざまなクラシックカーモデルの細かいところまで手の込んだ装飾品が、パッカード社の自動車オーナーの間で、強く求められています。 

 

1930~40年代、カーマスコットとして多くのパッカード車を美しく飾った「スピードの女神」が、そうした引っ張りだこの垂涎の対象物の一つです。面倒でコストのかかるオリジナルコンポーネントの取得に対する技術的に簡単で現実的な代替手段は、細部まで再現したレプリカの作成です。そのためには、基本的に、2通りの生産方法が主流です。一つの生産方法は、3次元プリンターを組み合わせる高速プロトタイピングアプローチであり、他方は、元の部品の鋳造型を作成するリバースエンジニアリングです。これらの各方法に必要となる部品の3次元データセットの生成は、ブロイクマンSmartScan デジタル化処理装置を用いて達成されます。

非接触式スキャン処理も、非常に繊細または壊れやすい対象物に正しくふさわしく、それによって、デジタル化処理作業は、2つの主要フェーズから構成されることになります。最初の手順では、SmartScan を使用して、冷却器マスコットの3次元捕捉データを生成します。結果のデータ、元の小立像の仮想イメージ(STLデータセット)は、3次元プリンターを用いたレプリカ作成用のベースとしての役割を果たします(高速プロタイピング法)。 

エンジンや車両のコンポーネントの場合であれば、スキャンデータは、リバースエンジニアリングソフトウェアRapidform XOR3を用いて、表面モデルに変換した後、たとえば、その表面モデルをアルミニウム製鋳造型の作成に使用できます。

ワークフロー

マスコットのデータ取得は、回転台を援用して、実行され、測定対象物のほぼ自動化されたデジタル化処理を可能にします。デジタル化処理の間、取り残された領域は、再度捕捉したデータで、簡単に埋め合わせられます。

Kuehlerfigur_goddess-of-speed 元の小立像の切り傷や穴の形跡も、スキャン処理内で捕捉されますが、対応するデジタルデータセットの不備部分を取り除くか、リバースエンジニアリング工程内で簡単に修正されます。したがって、結果は、いつでも、完璧で損傷のない表面となります。カーマスコットのデジタルイメージは、さまざまな標準データ形式で与えられます。その中の一つが、後続の3次元プリント生成に必要となるSTL形式です。

鋳造型の生産の場合には、3次元データセット(多角形メッシュ)が、対象物全体のデータ取得完了時に計算され、その後、リバースエンジニアリングソフトウェアRapidform XOR3にエクスポートされます。対象物の3次元モデルが、リバースエンジニアリング工程の実行、および完全なCADデータセットの生成のため、スキャン処理から生成されます。リバースエンジニアリングを検証するため、3次元モデル(多角形メッシュ)およびリバースエンジニアリングの生成したデータセット(CADモデル)が、数秒内に相互に比較されます。元の対象物から誤差が識別されると、その誤差は偽カラーマッピング方法を使用して視覚化されます。SmartScan 装置を用いる高精度のデジタル化処理結果のおかげで、たとえば、エンジンコンポーネントも、非常に高水準の精度で3次元で再現し、専門ソフトウェアRapidformを用いて、以降の生産に合わせて整備することができます。

 

結論

Kuehlerfigur_goddess-of-speed-mit-klein 大規模なデータ量が関係する場合でも、自動デジタル化処理アプローチを利用すると、効率的かつ信頼性の高いワークフローが、各スキャン作業に対して保証されます。AICON社のSmartSCAN デジタル化処理装置は、評価が簡単で分かりやすく行える測定結果を生成し、後の処理に使用できる包括的なデータベースをユーザーに供給します。生産工程での効率的な資材利用を保証するばかりか、極めて詳細な点までも、最終結果の各マスコットの複製は、オリジナルの瓜二つのレプリカとなります。 

オリジナル部品がもはや十分な数量入手できない場合には、このように、現代の技術が、たとえば、高速プロトタイピングや型鋳造の方法を利用して、レプリカ生産などの新しい効率的な代替手段を可能にします。

各処理に対応して、AICON社のSmartScanは、簡単、迅速かつ確実に、要求されている3次元データを生成します。この独創的なアプローチのおかげで、長い「自動車人生」で、元のカーマスコットをすでに喪失してしまったパッカード社の風格のあるクラシックカーモデルを、「スピードの女王」が美しく飾ることができる日も将来くることでしょう。

なかなか手に入らないオリジナルの「スピードの女神」を気持ちよく貸与下さったピーター・ハルツォク氏に感謝いたします。