航空宇宙産業でのTubeInspect

航空宇宙産業でのTubeInspect PFW Aerospaceからの試験レポートが、航空宇宙産業における配備への測定装置TubeInspectの適合性を実証する

航空宇宙産業におけるパイプ製造に対する品質要求は、他の産業セクターに比べて、相当に厳しいものがあります。このセクター向きの光学式チューブ測定装置TubeInspectの適合性を判定するため、FW Aerospace AG社が、広範囲の測定装置解析を実施しました。

その試験の間、PFW社プロジェクトエンジニアのマーチン・ザイプト(Martin Seibt)氏は、同装置の高い再現性を特定したばかりか、その再現性が、他社競合測定装置よりも5倍も高いことを発見しました。試験結果が、7°を超えるパイプ屈曲に対するTubeInspect計測装置の適合性を証明したため、PFWの主要顧客のAirbus社は、PFWのTubeInspect実配備を正式に承認しました。 


航空宇宙産業における特別要件

航空宇宙産業におけるパイプ製造は、一見した印象よりも、はるかに複雑です。外側からは不可視の屈曲パイプから組み立てられた高度開発パイプシステムが、翼の先端から着陸装置に至るまで、あらゆる最新式航空機中を血管のように走っています。たとえば、燃料、圧媒液、空気、および酸素用のパイプシステムが存在します。今日、ドイツのシュパイアーに本社を置き、世界で1500名を超える従業員を雇用するPFW Aerospace AG社は、航空宇宙産業向けのパイプシステムの製造市場における大手とみなされています。同社を推奨してくれる一部の著名企業として、EADS/Airbus、Boeing、Bombardier、およびEurocopterがあります。 

すべてのパイプシステムは、どのような精度不足も破滅的な結果をもたらす危険性があるため、厳格な品質規定に従っています。無屈曲パイプは、個々の認定書を持つ単体部品を支給する、明確に資格のあるサプライヤのみから調達されます。したがって、さらなる処理の間、厳格な公差仕様を守る必要があります。PFW Aerospace AG社では、パイプ曲げ加工過程が、完璧な幾何学的構造に関する最高度の要求を満足する必要があります。 

しかしながら、常に利益を出すためには、不合格品を最小に抑えながら、最小生産バッチ単位でパイプを製造できなければなりません。PFW社のプロジェクトエンジニア、マーチン・ザイプト氏は、以下のように理由を説明します。「当社の顧客は、たった1個の部品生産を委託することがよくあるため、わずか1単位の生産バッチでも、利益を出しながら製造できることが当社の目的です。衛星の製造を例としてみます。その製造に必要とされるパイプは、非常に特異であるため、『1回限り』の製品となります。我が社は、わずか1パイプの生産を委託されます」

PFW-Aerospace_Tube航空機向きの連続部品でも、10個未満の数量で注文される場合もあります。ほぼ例外なく、生産にはチタン、ステンレス鋼または非腐食のニッケルベース合金のインコネルなど高価な資材が含まれるため、不合格品は、最小限に抑える必要があります。マーチン・ザイプト氏は、以下のようにコメントします。「今日、PFW社は、最小限の廃棄で20,000個のコンポーネントを直ちに生産できます。最初の良品ユニットの前に3本以上のパイプが不合格になることは、当社にとって受け入れがたいコスト要因となります」 

航空宇宙産業では、製品が多様化し、多数のプロトタイプの製造が要求されるので、多目的に利用できる測定装置は、理想的な選択肢となります。手動ゲージなどの生産方法は、パイプを変えるごとに適合調節を要し、さらに数年間保管しておく必要もあり、もはや経済的なソリューションではありません。さらなる効率化を達成するため、PFW社は、光学測定装置の潜在能力の分析を初めて行い、その結果を製造されたパイプ検査に今日まで使用されてきた接触式装置と比較しました。 


光学測定によりチューブ検査

その分析のため、PFW社は、今日の市場で屈曲パイプに特化した唯一の完全光学式の測定装置であるという理由から、AICON社の測定装置TubeInspectを選びました。TubeInspectは、高解像度デジタルカメラを複数使って、チューブの幾何学的構造の高精度測定を行います。さらに、同装置は、設定データおよび補正データを計算し、その結果を曲げ機に転送します。パイプ検査に要する時間は、短時間です。燃料パイプでは、測定データは3秒以内に利用可能になり、40個以上の屈曲を持つ複雑な制動ラインの制御は、20秒未満で実施できます。TubeInspectは、コストのかかる機械式ゲージを完全に置き換えることができます。


2つの手順を用いる測定装置に対する分析

第1手順

測定装置に対する分析を実施するため、PFW社は、最新の技術基準を反映する2通りの手順を利用しました。第1試験では、測定性能試験ですが、オペレータがまったく操作しない場合の測定装置の偏りと分散を試験基準に従って評価します。平均値、標準偏差、および偏りを一連の測定試験から計算することができます。

 測定装置の適合性試験の実施は、航空宇宙産業におけるパイプ屈曲加工の要件を反映するもので、PFW社は、DKD較正済みチューブを参照基準として使用しました。これは、50回測定されました。パイプは、測定セルから取り出され、以下の測定のたびに元に戻されました。これらの試験結果により、マーチン・ザイプト氏は、測定値が、較正済みパイプの確定された基準値と一致するかどうか、測定結果の相互関係、すなわち、測定結果の偏差の大きさを評価しました

第1手順からの結果-TubeInspectの分散は、触覚式装置の分散より劇的に優れています。

結果は納得のいくものでした。全測定屈曲点の99.7%の実際値からのずれが、0.36 mm(目標値:0.50 mm)未満であるため、TubeInspectは、測定装置として航空宇宙産業には適合していると判定されました。再現性は、かなり良好でした。無作為誤差は、±0.09mm (3シグマ)でした。この誤差は、以前使用していた測定方法に検出された分散を相当に下回っています。
マーチン・ザイプト氏は、以下のように結果を評価します。「TubeInspectは、その極端に低い偏差からして、最適要件に見事に適合します。競合装置と比較して、精度も非常に優れています」

第2手順

第2手順は、「ゲージR&R調査(Gage R&R-Study:Gage Repeatability & Reproducibility;ゲージ反復性&再現性)というタイトルを付けられました。この測定手順では、オペレータの影響を考慮に入れた、実作業状態での測定過程の反復性および再現性が判定されます。結果に従い、測定過程が測定作業に適しているかが決定されます。

 分析の間、TubeInspectと触覚式装置の両方を使用して、完全に異なる4本のパイプが測定されます。それらのパイプは、3台の別個の固定装置のもと、4台の別個の機械調節機から出されます。装置ごとに合計48の測定値が、記録されました。

第2手順の結果-TubeInspectの方が、接触式装置よりも5倍優れています。

この試験の結果について、マーチン・ザイプト氏は、以下のようにコメントしています。「当社は、反復性に関してTubeInspect装置の優れた性能に驚きました。AICON社の装置は、接触式測定装置よりも5倍優れた性能を示しました。固定装置をベースとする触覚式測定の設定は、パイプの幾何学的構造を操作しますが、それが、莫大な誤差原因となっていることを認識しました。TubeInspectは、光学位置決め補助手段と連動し、各パイプは、2つの位置で測定されます。これより、装置は、反復性の相当な改善を達成しています」


結論

PFW社は、同社の最重要顧客の一社であるAirbus社に上記の測定結果を提示しました。結果の説得力により、PFWは、Airbus社からTubeInspectの実配備への正式承認を受領いたしました。この装置は、現在、シュパイアーの工場に導入されており、日常的に使用されています。マーチン・ザイプト氏は、以下のように結論します。「AICON社の測定装置は、最も現代的な技術方式で、航空宇宙産業の厳格化する要求を満足します。他メーカーの測定装置は、その技術的限界に直面しています。当社は、今回の購入品には深く満足しています」