太陽エネルギーによる宇宙旅行

MoveInspect HRを使った太陽帆測定を行っているユーザーDLR

巨大な太陽帆は宇宙上で展開され太陽系を探査する人工衛星の動力源となります。太陽系の航海は遠い将来の話ではなく、我々人類にとって近い将来に実現すると想定されるビジョンとなっています。ドイツ、ブラウンシュバイクとブレーメンにある航空宇宙センター(DLR)の学会では欧州の宇宙機関であるESAとブラウンシュバイク大学と共に技術的な提携を持っております。彼ら研究者は太陽帆による動力が極めて有効であることを証明するため、AICON社の測定機MoveInspect HR を使用して太陽帆の測定を行っております。

帆のブーム部分は炭素繊維強化プラスチック(CFRP)でできており非常に軽く、また強靭です。帆のマスト部分は2.8m~14m、直径は30mm~150mmまであり一部財であり、1mにつき70g程度の非常に軽く生産されております。それらは特別な形状のため自動開閉できるようになっています。

 

DLR_Messaufbau

最新の測定システムは最先端の航空宇宙技術に合致します。

帆はブームを曲げることなく、どの程度張力を持たせることができるのか?DLRの軽量炭素繊維複合材研究部とAdaptronicsはこの問いについて述べております。これまで使用されていた測定システムでは計測が困難であり、この問いに答えるためには十分ではありませんでした。

2014年3月からDLRはMoveInspect HRを使用しております。 MoveInspect HRは1つ以上の高解像度デジタルカメラが三脚もしくは専用バーに取り付けてある測定システムです。このシステムは同時に無制限のポイントを測定することができますので全体的な対象物の状況を把握することができます。測定は高いフレームレートであり高速撮影が可能です。全ての動的な挙動は三次元映像として記録されます。 

測定される太陽帆のブーム部分は、牽引モーターを装備しているテスト用の装置に取り付けております。測定機である2つのデジタルカメラはフレームに装着されているブーム部分に向けられており牽引モーターはブーム部分の下を横方向に引っ張ります。マスト部分の寸法によって最大の移動差は0.3mから1.5mほどになります。

MoveInspectは牽引モーターと他のセンサ(引っ張り強度、変化量、時間などを記録するためのもの)に同期しており、自動的に各部の座標測定を行い力と変化量の関係を時間軸で関連した分析・評価を行います。結果はグラフや表にしてアウトプットされます。

DLR_Adapterおよそ2分程度で全ての結果が排出される我々のシステムはいわゆるレーザー測定機や接触式測定機のプロセスに比べ非常に優位であることがわかります。レーザー測定機等は一方向を一点測定することを得意としているシステムであり、多点の計測においては同様の測定を何度も繰り返し行う必用がありますので、全体の測定を行う場合は非常に多くの計測時間を要し、全体の測定精度を低下させることになります。これに比べてMoveInspectは一度に多くの点を精度よく測定処理できることから、このようなアプリケーションには最適なシステムであると言えます。さらに、カメラを使用した光学式測定特有である静的な座標測定のみならず、動的な測定においてもあらゆる方向、あらゆる測定ポイントにおいて精度よく現象を捉えることができますので大きな対象物の測定において、大きな効果を発揮します。非接触測定は接触式測定機に比べ、壊れやすく接触できないような非常に軽い対象物の測定においても正確な測定を実現可能です。

 

DLR_Boomversagen

太陽帆での宇宙の航海 – 将来の運航技術

太陽帆での宇宙の航海は、従来の推進力技術に代わる技術として何十年も開発されてきた宇宙船の推進力の形です。この推進力は太陽の光子パルス(これは太陽風の約1000倍の力)を用いることで成し遂げられます。太陽帆を用いた推進力は燃料を必用としないため、推進力はいつまでも尽きることはありません。 

これまではヨーロッパ以外にて、低軌道上に配備された実験設備と、実際には航行できなかったが独立してコントロールできる太陽帆の設備の、2つの実現可能性を示す試みがありました。それゆえ、ドイツの航空宇宙センター(DLR)と欧州宇宙機関(ESA)は、超軽量で宇宙空間にて展開できる構造での総体的なプロジェクトを実行することを決定しました。地球軌道上にて様々なサイズの実験機を配備する試験がここ数年の間で行われます。DLRの宇宙上で展開可能な超軽量構造のテストは今後の商業的な使用技術に生かされていくでしょう。

 

DLR_Boomfertigung開発目的:革新的な超軽量構造のシステム

DLRの複合繊維軽量構造物研究所とAdaptronicsは基礎研究と産業界への展開の間の架け橋となります。その中には費用対効果の改善、軽量化、機能強化、環境適合性、さらに便利な機能にする事などの活動があります。これらの事業は航空宇宙の分野において工業界の投資家や大学、ドイツの研究財団(DFG)、研究所、省庁、監督官庁などのパートナーから構成されております。安定性や強度、熱の分析、製造可能性などの質問は、音響実験設備やDLRの宇宙構造研究所(大学やDLR内でヨーロッパ最大の最先端設備)などのユニークな実験設備を使用している研究者によって述べられます。

MoveInspect 測定機はこれらの試験設備に完全に適合します。DLRにてMoveInspect システムを監督しているMartin Zander氏は この測定機を非常に満足して使用しています。「MoveInspect HR システムは多くの測定時間を軽減し新しい機会を与えてくれます。現在、たった1つの設定によって全ての測定が可能です。最初はレーザーによる測定装置を使用していましたが、我々の複雑な測定を行うことはできませんでした。MoveInspect HRは我々の現在の測定プロジェクトに完全に適合しております。非常に柔軟なシステムでありますので、これからも様々な場所で使用していくでしょう」