メディカルマーケットにおける リバースエンジニアリング

PrimeScanで製品の品質と生産性を向上

Aiwa Case Study

株式会社愛和義肢製作所は、東京都練馬区の閑静な住宅街にある、シリコーン製の義指・義手・義足等をひとつひとつ丁寧に完全オーダーメイドで製作してお客様に提供している会社です。2004年の発足後、医療機関と連携し、装飾性・審美性・機能性の向上を目的とした製品群の提供に加え、技術研修や講演活動などを行うことで、技術の広がりを促進し、より良い社会づくりに真摯に取り組まれています。

このたび、商社を通じて「より鮮明にスキャンできる製品を探している」ことを伺い、三次元測定機やレーザースキャナーの豊富なラインナップからご要望にお応えできるような製品を提案させていただきました。

Aiwa Case Study

愛和義肢製作所の製品はすべてオーダーメイドです。お客様の義肢を製作する反対側のパーツを反転してデータを 取り込むことで、よりお客様一人ひとりに合わせた自然な義肢を製作することが可能となります。この方法は既製品や造形を中心にした製品とは大きく異なり、違和感なく義肢を再現する上での重要なポイントです。この再現に必要なものが、高精度のスキャナーです。より本物に近い義肢を製作する為、測定精度はもちろんのこと、特に義指を製作する場合には『指紋の再現性』が求められます。

従来はアームタイプの三次元測定機とレーザースキャナーの組み合わせを使用されており、作業も慣れていらっしゃるとのことでしたので、Hexagonでも初めは同じような組み合わせをご提案しました。しかしながら、テスト段階において要求されるような指紋の再現性がクリアできませんでした。

fingerprint reproducibility

そこでHexagonではカメラ型スキャナーであるAICON PrimeScanと、以前よりお客様が作業効率の向上のために使用されていたターンテーブル(義肢をスキャンする際に製品を乗せるためのテーブル)との組み合わせを提案しました。このAICON PrimeScanという製品はもともと人体や芸術関連での実績が豊富で、顔や皮膚、身体のスキ ャンなどに適しており、また頭蓋骨の修復のためのリバースエンジニアリングや歯形のスキャンなどの実績もあるため、今回の重要な要求事項である「指紋の再現性」という目的に対応できると判断しました。早速テストを行ってみたところ、以前に比べ明らかに指紋の再現性が向上し、また、これまでデータの取得が困難であった「指と指の間」についても、従来の手法と比較して格段にノイズが少ないデータを取得する事が出来たことから、正式に導入いただくことになりました。

Case study

愛和義肢製作所 代表取締役の林氏は、「HexagonのPrimeScanは指紋の再現性が素晴らしく、以前使っていたものに比べると簡単に、また詳細に計測することが出来て作業効率も向上しました。それに加えて作業者の熟練度やレベルにかかわらず常に一定の品質で同じ結果を得ることが可能なため、お客様へ安定した品質の製品を供給することが可能となります。多くのお客様が当社の製品を待っているので、少しでも早くお届けできることはとても有難いです。」とおっしゃっています。また実際にPrimeScanを使用されているスタッフのみなさまからは、「細かな指紋まで再現できるため、これまで手作業で行 っていた修正等の作業がほぼ不要になりました。製作物にもよりますが、トータルでかかる作業時間は今までのほぼ半分になり、結果として作業効率と生産性が劇的に向上しました。」とのコメントをいただきました。

case study

常に先を見据えている愛和義肢製作所では、今後は高品質の義肢を海外のお客様に対しても積極的に提供されていくことを計画されています。また、3Dプリンターと組み合わせての活用に加え、数年後には形状だけではなくカラー情報を併せて取得することを検討されており、その際にはまたHexagonがお手伝いさせていただければと思っています。

製作物にもよりますが、トータルでかかる作業時間は今までのほぼ半分になり、結果として作業効率と生産性が劇的に向上しました。

*PrimeScanは日本国内においては相手先供給ブランド TTS FLAREにて2021年11月より供給を開始しました