CMM向けHP-L-10.10レーザースキャナーが、大規模計測に最適である理由

2023年3月に、Hexagonの三次元座標測定機(CMM)用HP-L-10.10レーザースキャナーは、新たにHexagonの水平アームおよびガントリーCMMの新型・従来型モデルでも使用できるようになりました。これらの三次元測定機は、自動車業界では車体やその他の板金部品のような中型から大型部品、航空宇宙、電力・エネルギー、一般機械業界ではその他の大型部品の測定に使用されています。

ステーショナリー型CMMのシニアプロダクトマネージャーのガブリエル・ペリシシッリ氏に、Hexagonの最も大型のCMMのユーザーにとって、これが素晴らしいニュースである理由、またこのスキャナーにアップグレードすることで、大幅な生産性の向上につながる可能性について聞きました。

大型ワーク測定作業が必要なメーカーで、このレーザースキャナーへのアップグレードに関心が持たれる理由とは、どのようなものでしょうか?

一言で言えば、それは「速度」です。競争が激化する今日の市場では、すべての産業の顧客の間で、速度がより強く望まれるようになっていることを私たちは理解しています。顧客は、測定効率と、生産の処理能力を高めるため、あらゆる機会を求めています。また、大型構成部品の測定が必要な産業にとっては、これはさらに重要です。

おおまかに分ければ、CMMユーザーには、現状で二つのグループがあります。一部のユーザーは、接触式のテクノロジーのみを使用しています。接触式プロービングは、様々な用途で優れた精度を発揮する完璧なソリューションとなり得るため、場合によってはそれでも構いません。

しかしこの手法では、すぐに限界に達してしまいます。大型部品で、数百ときに数千を超えるデータポイントを取得する場合に、接触式プローブを使用すると、数時間もかかることがあります。この時間を完全に迂回できる方法はありませんが、これまでに、プロセスを少しでも迅速化できるよう、多くのプログラミング上の努力が行われてきました。

もう一つのグループでは、CMM測定ツールキットの一部として、既にレーザースキャナーが使用されています。CMMオーナーの間では、このテクノロジーで時間とコストをカットできる効果が実感されています。

すでにレーザースキャナーを使っているこれらのユーザーは、なぜ最新のスキャナーを検討しているのでしょうか?

それは、生産に求められる速度が、けっして人を待ってはくれないからです。顧客の品質要求は、ますます厳格化しています。部品はより複雑に、測定がより困難になり、また、コスト削減の圧力は強まっています。特に私たちは、サイクルタイムと、測定ボトルネックが、共通の課題となっていることを理解しています。

したがって、メーカーは、より速く測定を完了し、サイクルタイムを縮小し、生産効率を押し上げる方法を求めています。

このスキャナーなら、そのすべての条件を満たすことができます。非常に高速で、前モデルと比較し、速度が7倍に高まっています。最大で毎秒600,000測定ポイントと、より少ない時間で、より多くのデータを捕らえることができます。

こうした素晴らしいデータを踏まえ、これらの機能は、実際の測定ではどのように役立つのでしょうか?

これらの能力を実際の世界にもたらすとどうなったかですが、米国の航空宇宙メーカー顧客の一社では、接触式の測定から、HP-L-10.10を活用した非接触測定に移行することで、測定時間がこれまでの8時間から、なんとわずか7分にまで短縮されたのです。

これが、接触式の測定から非接触式の測定への移行が意味するものです。また、過去の世代のさまざまなスキャナーとも比べてみましょう。初期のHP-L-10.6モデルで記録されたサイクルタイム45分と比較し、HP-L-10.10では、7分にまで劇的に短縮されました。84%以上の時間短縮です。測定は、キャパシティの制約からついに解放されたのです。

HP-L-10.10が、大型CMMや大きな構成部品の測定に理想的に適する点を、さらに強力に支える根拠として、この顧客は、部品が大きいほど、測定時間の全体的な短縮幅が大きくなることを見いだしました。

しかし、この速度でも、精度に妥協はないのでしょうか?

過去には、メーカーの3Dスキャンソリューション実装で、時に速度や精度で妥協を強いられることもありました。しかしこのスキャナーなら、こうした妥協も、もはや過去のものとなりました。

Hexagon’s HP-L-10.10 laser scanner for coordinate measuring machinesプローブ測定フォーム誤差は8 μmで、 HP-L-10.10の精度は、接触式プローブ測定ソリューションでオペレーターが達成できる結果に、限りなく近づいています。このレベルの高い精度は、豊かな分析を可能にし、十分な情報に基づいた意思決定に役立つ、高品質のデータセットを提供できます。

この速度と精度を支える技術とは?

1秒あたりの収集点数や1ラインあたりのスキャン速度は、一貫して増加しつづけて来ました。しかしこのスキャナーの性能の中心となっているのは、SHINEテクノロジー (Systematic High-Intelligence Noise Elimination)の統合です。

SHINEの光学アルゴリズムが、レーザースキャンの有用性を根底から変えたと言っても過言ではありません。
SHINEでは、スキャナーの青色可視光レーザーが、さまざまな色や光沢度を持つ表面や形状を、極めて素早く移動しながら、驚くほどクリーンで高密度の点群データを収集することができます。これにより、スキャナーが常に最適な設定で作動していることを保証できます。

私たちは、ユーザーにとって使いやすさの重要性が高まっていることを知っています。CMMオペレーターの業務を強力に支援できる、その他の機能や能力はありますか?

SHINEについての説明をもう少し続けます。ユーザーにとっては、わずかなトレーニングのみで、スキャナーをすぐに簡単に使用できることを意味します。また時間も節約できます。測定ジョブの準備では、特定材料の部品で、光学設定を試すためだけに点群データを収集する必要がなくなるためです。

さらにスキャナーの起動時間が50%短縮され、待ち時間がなくなったことも好評を得ています。

その他多くのユーザビリティ機能があり、これらを当社のPC-DMIS計測ソフトウェアと組み合わせることで、ユーザーがどのようにデータを捕らえて使用するかをカスタマイズできるようになっています。

そのほんの一例として:

スキャン速度は、自動的に調整されます。広い表面を迅速に捕らえる手法から、必要に応じ測定パス内でより点群密度の高い手法に切り替えることで、大きな表面を迅速にキャプチャできると同時に、複雑なフィーチャも、同じプログラム内で測定できます。ユーザーは、さらに測定ニーズに応じて、サイクルタイムと精度のバランスを取り、スタンドオフを調節できます。

これらおよびその他オプションをあわせることで、オペレーターはジョブに最も重要なディテールに注目できるようになり、最も重要なデータを、迅速かつ正確に捕らえることができます。

さらにオーバービューカメラは、カラーマップ内の分散の識別により、局所的な表層部の欠陥を捕らえ、最終報告にその画像を追加します。より大きな構成部品では、偏差をより容易に見つけられるよう支援します。

これらをすべて踏まえたうえで、HP-L-10.10にアップグレードするべき理由を、簡潔にまとめていだくと、どのようになるでしょうか?

品質検査が、生産のボトルネックになるべきではありません。メーカーがより迅速な測定を望むなら、生産能力の制約や待機時間から解放されるでしょう。HP-L-10.10は、CMMのレーザースキャナーの新しい基準を打ち立てます。わずか数分で、数百万ポイントを捕らえ、わずかなスキャンパスでオブジェクトの全表面を捕らえることができるようになります。このスキャナーは、大容量測定で、生産性の大幅改善を強力に支援する、独自のモデルです。

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