Scan-to-Plan が歴史的建造物の保存に貢献する理由

Villa Boisserée は、1901年に Sulpiz Boisserée 家によって建てられた、ドイツのケルンにある建築物です。その後、複数回の改築が行われ、最後の改装は 2001年でした。4 階建ての総使用面積は 1,435 平方メートル（m²） 、敷地面積は 2,000m²で、細部までスキャンが必要な部分が沢山ありました。このような古い建物は、過去の歴史的価値と美しさを維持するために、改築が行われる際に綿密な計画が必要です。

改築を慎重に行うには、建物の部材の現状を把握し、それを計画プロセスに含める方法を検討することが不可欠です。Jan-André Meyer Architects は、建物全体と周辺をスキャンするように依頼され、デジタルツインと間取り図を作成しました。以前、他のプロジェクトで BLK2GO を使用した経験から、内部には同じハードウェアソリューションを、外部の撮影には BLK2FLY を選択しました。

「BLK2GO と BLK2FLY で、建物全体を数分で取得できました。Cyclone Register 360 ソフトウェアと組み合わせることで、取得された点群データを処理して、将来の改築をより正確に計画し、建物を保全するために必要な 2D と 3D の成果物を作成することができます」と Meyer 氏は述べます。

歴史的建造物の複雑なディテールをキャプチャ

建物に足を踏み入れると、大理石をふんだんに使ったアーチ型の美しいエントランスがあり、建物の中心である 2 階に繋がる広々としたホールと大理石の主階段へと続きます。中 2 階には、レディースサロンやダイニングサロン、各種オフィスや会議室があり、よりモダンな雰囲気に仕上がっています。元々の建築詳細のほとんどが今でも残っているため、改築を計画することがより困難で興味深いものになっています。

Meyer 氏はプロジェクトのために、BLK2GO と BLK2FLY を使用して Villa Boisserée の正確な 2D および 3D 成果物を作成しました。建物の内部は BLK2GO で取得され、建物中を歩いてすべての部分（狭い空間を含む）をスキャンすることができました。1 秒あたり 420,000 ポイントの計測速度は、建物内装の複雑な詳細を正確に取得するために十分な速さです。

建物の外装では BLK2FLY が活躍し、Meyer 氏は別荘、ファサード、2,000m²の敷地を素早くスキャンすることができました。

「外部スキャンの計画はモバイルアプリで迅速に行われ、その後 BLK2FLY で自律的にスキャンされました。より詳細なスキャンが必要な場合は、そのエリアに手動で BLK2FLY を飛ばし、より高い解像度で再度スキャンすることができます」 と Meyer 氏は述べました。

わずか数分の 2、3 回の飛行で建物とその周辺をスキャンし、従来の方法に比べ、Meyer 氏より短時間で作業を完了できました。

取得したデータを今後の改築計画に利用する方法

スキャンが完了すると、Meyer 氏は取得したデータを処理し、必要な成果物を作成することができました。BLK2GO と BLK2FLY の BLK バージョンの Cyclone Register 360 を使用し、スキャンをアップロードし組み合わせて Villa Boisserée 全体の点群を作成しました。これに基づいて、2D の平面図と 3D モデルが作成され、クライアントのために正しい形式でエクスポートされました。

このような詳細なスキャンを請負業者と共有することで、将来の改築計画も計算し易くなり、設計も容易になりました。これにより、現場で作業が必要なディテールの計測や写真撮影をすることなく、実際にどのような建物であるかを正確に把握することができます。

Meyer 氏はプロジェクトを振り返って次のように語っています。「優れた Scan-to-Plan ワークフローにより、関係者全員が取得されたデータを使用して、今後の改築の精度と効率を向上させることが容易になります。Villa Boisserée のオリジナルのディテールや仕上げを再現することができます」