SUBARU 航空宇宙カンパニー、複合材料の仮想クーポン試験および強度解析に複合材料モデリングプラットフォーム「Digimat」を活用

HexagonのManufacturing Intelligence division（東京都千代田区、代表取締役社長：今野ソックス真生）は、株式会社SUBARU（東京都渋谷区、 代表取締役社長:中村 知美、以下SUBARU）航空宇宙カンパニーが、連続繊維複合材料の研究において、複合材料モデリングプラットフォーム「Digimat」のDigimat-VAを活用した仮想クーポン試験を活用していると発表しました。

SUBARUの航空宇宙カンパニーは、その前身となる「中島飛行機」を含め100年にわたり航空機の開発・生産を進めてきました。現在は主翼などの複合材を含む航空機構造の開発・生産技術、ヘリコプター、無人機や高度なシステムインテグレーション技術などさまざまなカテゴリーで航空宇宙産業をリードしています。

航空機業界では、機体の軽量化のために複合材料（CFRP）の適用の拡大が進められています。複合材料は軽量で高剛性ですが、材料のバラツキがあり、製造プロセスで欠陥が発生しやすく、クーポン試験により設計に必要な配向比の強度を取得するため多くの試験を必要とします。
強度保証は通常ビルディングブロックアプローチに基づき、試験による証明が支配的ですが、特にクーポン試験は試験の種類、配向比、環境条件と試験数が多く時間・コストがかかることが課題となっています。

SUBARUでは、連続繊維複合材料の研究において、複合材料モデリングプラットフォーム「Digimat」のDigimat-VAを利用した仮想クーポン試験結果による評価を行いました。さらに仮想クーポン試験より構築された材料モデルを実部材の一部に適用したメゾスケール解析も行いました。

試験と解析の強度比較（擬似等方）

仮想クーポン試験による許容値カーペットチャート

今回の仮想クーポン試験では、JAXA先進複合材料力学特性データベースを基に材料モデルを構築し、ずれの仮想試験においても同様の材料モデルを用いて誤差10%程度で破断応力を予測しました。また、Advanced PFAモデルによる積層材モデルの仮想試験において、疑似等方とは異なる配向比においても精度良く破断応力を予測することができました。

さらに、ビルディングブロックの次のステップである要素試験においてもクーポン試験と同等の損傷モデルを実装し、最終破断まで予測できることが確認できました。ここでは複合材のラディアスベンディングによる層間剥離の強度解析を、非線形構造解析ソフトウェア「Marc」を使って行い、全体として試験結果と同様の傾向を予測できることを確認しました。初期損傷の段階では人工欠陥を含む層の剥離が拡大し、その後他の層間に剥離が発生し最終損傷にいたる損傷のプロセスを適切に再現しています。

解析による層間剝離の様子

SUBARU 航空宇宙カンパニー 研究部 機体研究課の牛山 剣吾氏は次のように述べています。「本研究では、連続繊維複合材料のメゾスケール解析に関連し、仮想クーポン試験、ならびに要素試験での結果の評価を行い、基本的には材料試験で取得した値を入力すれば精度良く強度の予測を行うことが確認できました。将来的には、要素試験からさらに詳細試験においても仮想試験を段階的に活用することで、試験の数や開発期間が短縮されることを期待しています」

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